私はペルソナ5 the animation を愛せない。

順調に話数を重ね、Twitterなどの反応を見る限り好評な「ペルソナ5 the animation
このアニメを愛し、応援する人達には申し訳ないが、私はこのアニメをどうしても愛することが出来ない。
所謂アンチというものなのだろう。
好きが高じてアンチになるということを初めて体験した。
もしお時間があるのならば、少し私の話を聞いて欲しい。



好きが高じて…と言った通り私はペルソナ5というゲームが大好きだ。
発売日に合わせて休みを調整し、手に入れた日から徹夜でプレイ。席を立つ時は飲み物の補充か御手洗。そのくらい没頭した。周回はいつの間にか5周を上回り、プレイ時間も400時間を超えた。
だからこそ「純喫茶ルブラン 屋根裏作戦会議」で発表されたアニメ化に心が踊ったのだ。
放送が近くなる度に発表されるPVを見て期待値も高まった。監督の「好きだからこそ妥協しない」という言葉に喜んだ。
ペルソナ5は愛されている。きっと成功する。アニメが始まってプレイヤーが増え、また盛り上がる。きっとそうだ。そう信じた。



だが、どうやら私は彼らの顧客ではなかったらしい。



ペルソナ5をきっかけに仲良くなった友人達とSkypeで通話をしながらアニメの放送を見た。4人で通話していたが、見終わった後誰もが乾いた笑いしか出てこなかった。なんだこれは。
原作のリスペクトはどうした。妥協はないんじゃなかったのか。インタビューは嘘か。それとも私たちが見ているものだけが違うのか。



アニメだから尺が短いことは仕方ないと言われるのは納得している。1周目終了までのプレイ時間平均90時間なら尚更切るところは切るべきだ。きちんと理解していたつもりだった。だけど物語に大いに関わってくる内容を切ってしまうのはどうなんだろうか。冒頭の逃走シーンも幾分か端折ってしまうのは仕方ないことだと思う。けれど大事なセリフを端折っても良かったのか。1話はアニメの最初で大事な部分だと思ってる。1話目で視聴継続かどうかを決める人たちも多いはずだ。これではあまりにも雑すぎる。それなら1話だけでも1時間スペシャルをもぎ取って丁寧に作って欲しかった。この時、私は自分が愛した怪盗団はいないものと考えるべきだと悟り始めた。



毎週毎週、尋常ではないスピードで話は進んでいく。必要な部分は削られ、要らない部分が増えていく。変化させられていく。
武見先生は高校生に保証もない薬を自ら渡す変な医者へと変貌し、逃走ルートの確保も出来ていないまま「ルート確保」と言い、パレス内で本名を叫び、1秒でワープする鴨志田と怪盗団、壺セーヌの再現、ビュフェの伏線部分は削除、さらに祐介覚醒回の改変は最悪だった。
酷いことを言うが各話の明智シーンは必要だっただろうか。本当にこの出演のさせ方で明智もメインメンバーだと同等に認識できるようになるのか疑問しかない。そのシーンを他に回せばもっと別の部分に力を入れられたんじゃないのか、そう思ってしまう。
特に明智のグッズ展開だけは早いから「この為の出演なんじゃないのか?」と嫌な方向に勘繰ってしまう。
毎週毎週、好きなものが黒く塗り潰されて行くようだ。私が好きになったペルソナ5はこんな話なのだろうか。



インタビューで監督は言った。
「皆さんの心の原作を再現していく」
心の原作とは何か?ペルソナ5 the animation の原作は 株式会社ATLUS が製作した ペルソナ5 ではないのか。
見たかったのは金のかかった二次創作では無い。アニメとして動くゲーム原作だ。二次創作は勝手にやる。放っておいてくれ。



とあるツイートを見た。
「アニメは製作委員会方式だから誰か1人の意見だけで脚本打ちされる訳では無い」と。
では、製作サイドは誰もこのアニメが削った部分を必要性のあるものとして認識出来ていなかったという認知でいいのか。



見る度見る度どす黒いものが心を覆っていく。
良い所は勿論ある。逃走シーンのアタッシュケースはどのように消えたのかわかりやすくなった。志帆ちゃんと鴨志田のシーンが増え、彼女の絶望感がわかりやすくなった、所々にコープキャラや話せるモブがしっかりと描かれておりゲーム内での絡みを思い出せる。良い所は沢山あるのだ。
でもそれ以上に何故なのか、どうしてなのかという不満が多い。失礼な話だが、本当にゲームをプレイしたのか。このキャラたちを愛して製作してくれているのか疑問や不満が湧き出る。



Twitterのアニメ公式タグを検索すると表示されるものは大絶賛なツイートばかりだ。いい事なんだろう。私が願った通りに盛り上がっているしプレイヤーも増えて入るんだろう。
毎週アニメを視聴する。最終話まで追い続けるだろう。
それでも、私はこのアニメを愛することは出来ない。
アンチだと自分でも思っている。このアニメの顧客ではないとも思っている。それで構わない。寧ろ私をそうと呼んでくれ。このアニメを絶賛する人間にはなれないし、なりたくもない。
私が愛したのは心の原作などではないのだから。